考えに行き詰まったらドラえもん映画『日本誕生』を観よう。
こんにちは、R-1ヨーグルトで花粉をあまり感じなくなっていて喜んでたら、昨日はくしゃみと鼻水が永遠にでてきていたドロンパ院長です。
この記事では引き続きドラえもんの映画版の考察をしていきます。
今回は『のび太の日本誕生』です。
まずはあらすじを。
家でも学校でも叱られてばかりののび太は家出しようと思い立つが、どこもかしこも私有地か国有地でどこにも自分の思い通りになる土地がない。最初は「無駄なことだからやめておけ」とのび太をバカにしたドラえもん、しずか、ジャイアン、スネ夫の4人も各々の理由で家出するも行くところがなく途方に暮れていた。それならばいっそのことまだ人間が誰も住んでいない太古の日本へ行こうと思い立ち、史上最大の家出へと出発した。
誰にも邪魔されないユートピアが完成したが、一時帰宅したところ、本物の原始人と思しき少年ククルに出会う。ククルの一族であるヒカリ族は、凶暴なクラヤミ族と精霊王ギガゾンビの襲撃を受けたという。ドラえもんたちはヒカリ族を救うため、中国大陸へ向かうことにする。
家出の理由がそれぞれの家庭を反映している
はじめはのび太だけが家出をして、ドラえもんの道具に助けられながら周りはバカにされ続けます。
しずかちゃんですらも「やめときなさいよ~、どうせ続かないんだから」とキツイ一言。しかも笑顔で。しずかちゃんは天然。
中でもジャイアンとスネ夫のいじり方が最高で、
スネ夫「住所教えてね~」
ジャイアン「遊びにいかないから~」
二人「がははははは~~」
と芸人もびっくりするぐらの絶妙なコンビネーション。
とはいうものののび太、しずかちゃん、ドラえもん、スネ夫、ジャイアンのいつものメンバーがみんなそれぞれ嫌なことがあって家出をして、過去の日本にタイムスリップしてそこで自由に暮らすというのが最初のストーリー。その家出がそれぞれの家庭を反映しているのですごくおもしろい。
のび太
前述のとおり家でも学校でも怒られてばっかりだから。すべてが嫌になってしまった。
ドラえもん
のび太パパが「会社の人が旅行にいくから」という理由でハムスターを預かってきた。ドラえもんはそれを見て「ネズミー!!」とびびりまくり。ハムスターが怖すぎるので家出に踏み切った。
しずかちゃん
ピアノの練習が増回されることになって嫌気がさして家出。しずかちゃんバイオリンだけじゃなくピアノもやってたのか!?
しかしピアノというのはかならずどこかで嫌気がさすもんなんだろうか?自分の周りでも「大学生ぐらいまで10年間やってました」みたいな人は一人しかいない。みんな途中でやめてる。やってた人は多いんやけど。
スネ夫
「ママが家庭教師に毎日きてもらうようにするって・・・」ということでスネ夫は家庭教師の増回。勉強が嫌になって家出。
ドラえもんのはじめのほうはスネ夫はけっこうかしこいキャラだったが、出木杉が登場してからはその地位を完全に明け渡している。
ジャイアン
店の手伝いが嫌になって家出。ジャイアンの家は商店を営んでいる。
ジャイアン「学校が終わって、家に帰ったら草むしりとか店の掃除とかばっかり!俺は母ちゃんの奴隷じゃないっつーの!!」
ジャイアンの母「そんなセリフは奴隷みたいに働いてから言ってみろ!」
と大喧嘩。
ジャイアンのボキャブラリーはけっこう高い。普通このシーンで「奴隷」という言葉はでてこなさそうなものなのに。
そしてなぜかみんなそれぞれ普通のカバンとかで家出をするが、ジャイアンだけは泥棒がもってる緑のふろしきみたいなやつで家出をしてくる。
「今の日本には持ち主のいない土地なんてありゃしない」
のび太が家出の口火をきって、ドラえもんにどこでもハウス的な道具をだしてもらう。ゴルフボールののせるやつみたいな道具だが、それを地面に差すと上に伸びていって巨大化し、家ができるという未来のテントみたいなもの。
それをまずは空き地に差して生活をはじめる。すると空き地の持ち主が怒ってくる。
「うちの敷地に勝手に家を建てられちゃ困るよ!」
のび太は次の候補地として裏山へ行った。が、そこも持ち主がいて再び怒られる。
もうこれで最後だ!とばかりにのび太はドラえもん依頼します。
「ど田舎の誰も住んでいないような村にいくからどこでもドアをくぐらせてくれ!」
しかしど田舎もダムが建設されるとのことで水に流されて帰ってくるのび太。
結局行くとこがなくなった時にメンバーが合流。どこか持ち主のいない土地はないものかと文殊の知恵を出し合う。そこでスネ夫が名言をいう
スネ夫「大体おかしくない?土地なんてもともとは誰の持ち主でもなかったはずじゃない?それを誰かが俺の土地はここだ!みたいに勝手に決めていったんでしょ?今のぼくらはそんな適当に決められたことに縛られてるの?」
ということで、『まだ誰も土地を所有していない時代』にタイムマシンで家出することになる。つまり人類がいないはずの時代。
実際についてみると人類はいなさそうな雰囲気。そこでジャイアン、スネ夫、のび太は「こっからここまでが僕の土地だ!!」みたいなことをはじめる。まさしく現実世界でもこんなことが行われていた時代の瞬間があったに違いない。
そしてそれをバカにするドラえもん。
「こんなに広大な土地があるんだからせこいことは考えないで、みんなで広く使おうよ!」
現実世界はこればっかりである。土地だけでなくお金がそうだが、「これだけのお金は俺のものだ!」みたいな世界。ビジネスでもなんでも「俺のもの」という考えでやってる人が多すぎる。
ヒカリ族とクラヤミ族の戦い
ヒカリ族というのは今回のサブ主人公であるククルという少年が属するグループ。和平派。クラヤミ族とはそのヒカリ族を支配しようとしているいわゆる悪役。そのボスがギガゾンビで手先が土偶。ギガゾンビは精霊王とも呼ばれ様々な特殊能力を使える。圧倒的な力でクラヤミ族を支配したらしい。正体は未来からきた犯罪者。
土偶の恐ろしさ
この土偶の人形がめちゃくちゃ怖かった。確か小学生ぐらいでこの映画を初めて見たので、土偶というのを学校で習っていなかった。何が恐ろしかったってこの土偶、粉々にぶっこわしても元通りに再生する。しかも人形みたいなやつがしゃべる。さらにしゃべるときには人形なので口も動かないしどっから声がでてるのかもわからない。
当時小学生だった私は本気で土偶にビビっていた。もちろんそのあと社会の授業で「弥生時代に作られたであろう土偶も出土しています」的な写真を資料集で見てビビりまくっていた。
ギガゾンビの素顔
ギガゾンビとか未来からきた犯罪者である。ストーリーでは時空犯罪者と称されていた。過去とか未来にいって(特に過去??)、今あるべき姿を変えようとする犯罪らしい。そういうことなら20世紀にドラえもんを派遣したセワシ君も時空犯罪者予備軍のような気がする。
ドラえもんたちは「土地がないから過去へいって楽しむ」
ギガゾンビは「未来世界では頂点をとれないので、過去にいって赤子同然の原始人を相手に頂点をとる」
やり方は違えどしょせん人間の考えそうなことだ。
最終的にギガゾンビは未来警察に逮捕される。その時に恐ろしい仮面をはずした素顔が公開されるのだが、これが衝撃的なことにタダのオッサン。ドラえもんの中でも出木杉とか先生なんかはB級キャラでちゃんとした顔だが、C級やD級といってもよいほどの適当な描かれ方をしたオッサンなのである!
あんな怖い仮面つけてるやつがオッサンだなんて・・・と当時小学生だった私は目が飛び出るぐらいのショックだった。今は花粉で目がかゆい。
まとめ
ドラえもんの映画特有の「怖さ」は土偶ぐらいにしか感じなかったし、ジャイアンのかっこよさも他の作品に比べたらそれほどです。考えさせられるかといわれたら、土地に関する権利のことは考えさせられるけどそこまでじゃない。全体的にうまくバランスがとれた作品なんでしょう。そのためかリメイクもされていて評価も高い。
物語の中にペガサスとドラゴンとグリフィンという架空の動物がでてくるのだが、これものび太の天才的なアイデアが発揮された結果で、物事の考え方に参考になる。
ドラえもんに「この広い荒野に僕たちだけでは寂しい。のび太くん、これを渡すから好きなペットを作ってくれ」といって猫とか犬とかの種みたいなやつを渡される。しかしのび太はそれを掛け合わせてペガサスのような神話の動物を作り上げてしまいます。
普通こんなん思いつきませんよね!?のび太の道具の使い方は、仕事で行き詰まったときなどに必ず強い味方となる考え方のような気がします。
なお、「にほんたんじょう」ではなく「にっぽん誕生」です。お間違えなく。
ドラえもんを大画面のテレビで観るなら、これがあれば最高です。