狩野一峰の思考錯誤

言いたいことも言えないこんな世の中だからこそあえて本名で

【書評】『コンビニ人間』村田沙耶香著

こんにちは、ドロンパ院長です。

昨日に引き続き、書評を一つ。芥川賞受賞作のコンビニ人間です。元々芥川賞という賞自体注目は全くしていなかったのですが、芸人の又吉先生が受賞し、大盛り上がりの中、その次に受賞した作品として火花ほどは有名じゃない作品かと思います。

 

コンビニ人間 (文春e-book)

コンビニ人間 (文春e-book)

 

 

小説は元々あまり読まないのですが、どうしても自分の好きなジャンルばっかり読んでしまうクセがあるため、視野を広げる為にも読んでいます。とかいつつかなり定番のこの作品ですが(笑)

読んだ感想はサーッと読めて気づいたら終わってた、というようなまさに本にハマった人は体験したことがあるであろう本。読みやすい。話自体も現代社会の話なので非常に分かりやすい。

 

周りにいる人たちが自分の言葉遣いや性格をつくる。私はコンビニで長い時間働いているから、同僚の性格や言葉遣いに合わせておかないと不便だ。

これはもう目から鱗でした。主人公の女性が疑問を持ちながらも心の内に思っていることです。久しぶりに会う友人と話をすれば、その人の環境が大体わかるとか。確かに自分が置かれている環境や所属が変わると、そのコミュニティからの影響を逃れることは不可能です。例えばアナログな職場からカタカナ語が多い職場に転職すると、はじめは訳が分からなかったカタカナ語知らん間にそれを使う側の人間になってるということです。言葉の語調とかリズムとかも。ものすごく忙しい会社ではけっこう早口になってしまってることって往々にあります。

私が今生業としている人材コンサルティング業でもわかるんですが、いわゆるブラック企業に勤め出して「しんどいしんどい」と言ってる若手が、何年もすれば「俺たちの時代はそんなもんだった」みたいな感じで、ブラッキーな事をする側になってしまったりします。今の時代、知らん間に犯罪者側になってることもあるので注意が必要ですね。

 

この国はまだ縄文時代のメンタリティなんだよ。結局は村一番の強い男が村一番の美女を嫁にする。現代で言えば金持ちが美人と結婚する、何千年と変わっちゃいないんだ。

これは主人公が働くコンビニに新人バイトとして入ってきた変わり者の思っていること。自分を負け組みたいに思っており、30代でコンビニでバイトをしはじめるが、「システムがなってない」とか愚痴をこぼしてクビになってしまいます。この意見は確かにそうなのかもしれませんが、それがわかっているなら歴史をひも解いていけば現代でも勝ち組になれるんではないでしょうか?結局なんやかんや理由をつけて行動しない人を表わしているような?

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なら私と同棲してみますか?その方がお互いにとってwin-winの関係になれると思いますので。

主人公の女性が上記の変わり者の男性に対しての提案。いきなりすぎて変わり者君はかなりテンパるが・・・結局この提案を受け入れて同棲することに。主人公の女性からは「ペットを飼ってる」みたいな表現されていましたが・・・。

そういえば主人公の女性は幼少の頃、殴り合いのけんかが学校で始まった時に、女子の「誰かとめてー!」という言葉に反応して、けんかをしている2人の頭をスコップで殴って病院送りにしてけんかをとめたことがあるとのこと。単純に一つの事象を解決するための手段としてはその通りだけど・・・。

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ネット上の色んな感想を見ていても「サイコパス」だとかえらく批判をしている記事がけっこうあります。でも私は単純におもしろかった。コンビニでバイトをしたことはないけども、コンビニでのバイト経験がある方はもっとおもしろいのかなーと思いました。スラスラ読めるのでおすすめです。

芥川賞受賞はダテじゃない!!